10歳を超えた猫が患う病気で多いのが腎臓病です。
これらは猫の祖先から受け継がれている猫特有の体質からなる病気なんです。
一度発症してしまうと現在の医療では完治しない腎臓病ですが、正しく治療を継続することで愛猫の寿命を延ばしてあげることはできます。
この記事では、なぜ猫は腎臓病になるのかを知り、どのように向き合っていくかを事例をもとにお伝えしています。
腎臓病は猫の特性からなる病気
猫の腎臓病は祖先から受け継がれているある身体的特徴から発症しやすくなっています。
この特徴は猫の祖先が過酷な環境下で生き抜くために進化した結果であり、現在の猫たちにもこの特徴は色濃く受け継がれています。この特徴から発症する腎不全は残念ながら現在の医学では完治することはなく、発症しないように予防をするか発症後に治療を続けて延命する以外は方法がありません。
ここでご紹介する猫の特徴を知り、子供のころから慣らすことで予防に繋がると考えます。
これらは10歳前後からの対処ではなく、是非一緒に暮らし始めたときから意識してもらいたい問題です。
受け継がれた猫の特性
猫の祖先が暮らしていたのは砂漠や高山など基本的に水が少ない過酷な土地でした。
それらの環境下で生きていくために猫の祖先は少ない水分量でも効率よく活動できる腎臓に進化したのです。
腎臓の機能は水分の再吸収、老廃物の排出、ミネラルバランスの調整、ホルモンの分泌などを行っています。
猫の腎臓は尿の圧縮率を高めることで少ない水分でも有効に活用できるようになっています。
しかし、これにより腎臓への負担は大きくなり加齢とともに腎臓機能が低下するのです。
水分の再吸収、老廃物の排出を繰り返すことで腎臓が詰まっていくということですが、目に見える症状がでるときには既に腎臓機能の三分の二以上が失われているといわれ、症状からの早期発見は難しい病気とされています。
腎臓病(腎不全)の症状とは
症状としてあらわれたときには既に腎臓機能の三分の二が機能しない状態といわれる腎臓病(腎不全)ですが、そういった状態でも適切な治療を施すことで病の進行を遅らせて延命することは可能です。
ですから症状を知ることは愛猫の命を守ることにも繋がります。
多飲多尿 | 最初に現れる症状といわれるれる尿量の増加です。腎臓機能が落ちると水分の再吸収ができない状態になるため水を多く飲む傾向があります。その結果尿量が多くなりますがニオイの少ない薄い尿になります。 |
脱水 | 次に現れるのが脱水です。腎臓機能がさらに悪化することで尿量はさらに増えます。すると自分で水分補給するだけでは補えず脱水症状があらわれます。※猫の脱水症状はダルそうにし活力がない状態です。 |
尿毒症 | 脱水状態が進むと腎臓で排出されるべき老廃物が蓄積され尿毒症になります。尿毒症になると食欲が落ち嘔吐することも多くなります。この段階で気づく飼い主さんも多いと思います。猫は吐くことがある動物ですが、固形物がない泡状のものや黄色い状態であればすぐに病院へ行きましょう。 |
貧血 | 貧血は腎臓で作られるホルモンが欠乏することで、食欲の低下や元気なくふらふらするといった症状があらわれます。 |
高血圧 | 腎臓機能が低下することで老廃物の排出が困難になるため、かわりに血圧をあげることで腎臓に流れる血液を多くすることで老廃物を出そうとします。しかし、結果的に腎臓にさらなる負担を強いることとなり腎臓の寿命を短くすると言われています。 |
10歳前後でこういった症状がでた場合は、様子をみず病院へ行きましょう。
腎臓病は一度発症すると現在に医療では治ることは無いといわれています。
また、症状がでたときには既に腎臓機能の三分の二は失われているともいわれます。
お勧めは7歳を超えたら定期的な血液検査をすることです。
腎臓病の予防&対策について
腎臓病の予防をするならば7歳からの定期健診は必ずしましょう。
それ以外に家庭でできる予防策として幼少期からの習慣付けがあります。
まずは、猫は祖先から受け継がれた「水が少ない環境でも生きられるカラダ」であることを十分理解して下さい。
そのことを踏まえて私たち飼い主ができる予防は、常に水が飲める環境創りです。
猫は水が無ければないで生きられます。
少ない水でも我慢ができる生き物です。
ですから、彼ら彼女らの通る道に複数の水飲み場を作ってあげましょう。
また、水に興味のでる器などもあるといいでしょう。
これらを仔猫の頃から環境として創り習慣化することが私たちが過程でできる予防策です。
※これらを徹底しても必ず防げるものではありません。気休め程度かもしれませんがやれるだけのことはしましょう。
お薬一覧
猫の腎臓病でよく使用される代表的なお薬三種です。
【フォルテコール】
ACE阻害剤であるフォルテコールは、RAA系を抑制する事で血管を拡張させ、全身の血圧および糸球体内圧を低下させます。これにより、残存ネフロンの負担を軽減させ、たんぱく尿の漏出を抑制し、腎保護作用を示します。
【セミントラ】
慢性腎臓病の猫ちゃんでは尿中にタンパクが漏れ出し(蛋白尿)、このことが寿命を縮めてしまうことが知られています。セミントラはこの蛋白尿を改善する薬であり、蛋白尿をはじめとする腎臓病を進行させる様々な悪化因子を抑え、残された腎機能を守ることが期待できます。
【ラプロス】
ラプロス®は、その薬理作用によって炎症、血流減少、低酸素および線維化の悪循環にアプローチし、腎機能の低下を抑制します。
サプリメント一覧
猫の腎臓病で活用される市販のサプリメントです。
【カリナール®1】
カリナール®1の成分は、消化管内で食物由来のリンをしっかりキャッチ、腸で吸収されず、そのまま糞便として排泄されます。
【カリナール®2】
カリナール®2の成分は、善玉菌である乳酸菌と、その栄養源となり増殖を助ける物質が含まれています。善玉菌は増殖する時に窒素物を利用するため、消化管内の窒素物が低減します。
【カリナール®コンボ】
カリナール®コンボを 給与することで、リン吸着と消化管内窒素物のケアを同時に行うことができ、中高齢期のワンちゃんネコちゃんの腎臓の健康を維持します。
【アゾディル】
犬猫の腎臓の健康をサポートしQOL(クオリティオブライフ)の維持に貢献します。
全米シェアNo.1心腎サポート犬猫用健康補助食品でアメリカシェアNO.1※ ※Animalytix LLC 調べ
【イパキチン™】
「炭酸カルシウム」と「キトサン」が、食物に含まれるリンと老廃物を消化管内で吸着します。
【PE キドキュア】
3つの吸着成分で消化管内のリン・窒素代謝物を吸着・排出し、腎臓の健康維持をサポート
【レンジアレン®】
フードに混ぜることでフード中のリンを吸着し、さらにお腹の中でもリンを吸着します。吸着されたリンは便と一緒に排泄されます。
【コバルジン】
特殊な製造方法で製造された高純度の多孔質炭素からなる球形微粒子の経口吸着剤。プラセボ比較臨床試験の結果、尿毒症症状の改善が認められ、特に「食欲」、「口臭」は4週及び8週時点で有意に改善。腎不全モデルラットにおける試験で血清インドキシル硫酸*濃度を有意に低下。
【マイメジン】
慢性腎不全における尿毒症症状の発現の抑制
【ネフガード】
ネフガードの主成分であるヘルスカーボンは植物を原料として作られた、自然派の活性炭です。多孔性構造体で、吸着力が強く、分子量100〜90,000位までの物質を吸着します。
まとめ
腎臓病は10歳前後に発症することが多く、15歳以上になると80%を越えて発症しているという報告があります。
これは病院へいく飼い猫の統計ですから、自然界で生きる猫たちを加えればさらに多いかもしれません。
それほどの確率で発症する腎臓病です。予防をしたとしても発症する可能性は高いです。
もし一緒に暮らす猫が腎臓病になった場合、どういった向き合い方をするか。
具体的には定期的な点滴治療などになりますが、
大切なことは飼い主さんの心のあり方ではないでしょうか。
自分を責めず、最後まで精一杯生きるお手伝いができれば、
私たちも、そして猫さんたちもきっと幸せな一生になると考えています。
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