ノミの跳躍力を侮ってはいけません! 完全室内外でも自分が持ち込むこともアリ

暖かくあると、とどこからともなく現れるノミやダニ。

夏真っ盛りのいま、彼らは爆増しています。

可愛い猫さんたちは勿論、私たち人間にだって被害を及ぼすノミやダニ。

手遅れになる前に、毎日の習慣から予防と対処をしていきましょう!!

今回はノミにスポットをあて、その性質から予防&対策の便利グッズや臆するなどを紹介しています。

まず敵を知る

彼を知り己を知れば百戦殆からず

これは古今東西で読み続けれらている兵法書、孫子の有名な一文です。

戦いをはじめるのであれば、まず相手のことを知ること、そして自分のことも客観的に把握することが大切ということです。

ノミやダニのことを積極的に考えるのは気が引けることかもしれませんが、被害にあわないためにも彼らのことをよく知り、そして自分にあった対策を立てましょう。ちなみに孫子の兵法は「戦わずして勝つ」ことを重要視しています。

ノミやダニを駆除するイメージではなく、できるだけ遭遇しないようにしたり、彼らが避けてくれるような方法を考えたいものです。

ただ、戦わないといけないときもありますから、その場合の方法も記載していきましょう。

ノミの特徴

ノミには多くの種類がありますが、ここでは猫に寄生する「ネコノミ」の特徴を扱っていきます。

ネコノミとそのままの名称ですが、その被害にあうのは猫だけではなく犬や人間にも影響があります。

強靭な後ろ足を持つネコノミは、その脚力で30㎝は飛び跳ねることができます。

ネコノミはその跳躍力で散歩中に取り付き、自宅で繁殖して家猫さんにも被害が広がることがあります。

「完全な家ねこだから安心」というわけでもないのが非常に厄介な存在です。

 

ネコノミの一生は短く生存期間は1~2カ月程度です(卵→幼虫→さなぎ→成虫)。

幼虫期間は5日から20日、さなぎの期間は数日から数週間になります。

しかし、ここで恐いのはさなぎの段階で生育条件が悪いと数カ月、もしくは数年もそのまま眠ることができるんです。

いや~、恐ろしいですね。ひょっとするといまも家で眠るノミのさなぎがいる可能性もあります。

 

なお被害を及ぼすのは成虫です。彼らの栄養源は猫や人の血液なので食事をしているだけなんですが…。

彼らは猫や人間の体表上で食事(吸血)をし産卵を繰り返します。

ここでもう一つ恐い話ですが、ネコノミは飢えに強い生き物なので運悪く食事ができないとしても1カ月程度は生きられるんです。生存期間が1~2カ月で1ヶ月程度食事なしとは…、生涯食事をしなくても生きられるんです。

ですからノミたちはタイミングを見計らい、チャンスが来るのをじっと待つ能力があるということです。

そして、しっかり食事(吸血)をし産卵を繰り返すとネコノミの一生(1~2カ月)で1,000個以上の卵を産むこともあります。そして自然界では春から夏の暖かい季節に繁殖するんですが、人間か住む室内であれば季節を問わず繁殖します。

ここが一番恐ろしいですね。

しっかりと予防&対処法を知り、その被害を最小限に食い止めていきましょう。

ノミによる病気など

ネコノミに食事(吸血)されると痒みをともなったり赤くなることがありますが、被害はそれだけではありません。ここでは猫と人間で症状が違う病気たちを紹介します。

猫がかかる病気

●ノミアレルギー性皮膚炎

これはネコノミが吸血する際にだす唾液が原因となり起こるアレルギーの一種です。発症すると強い痒みに襲われ自分で体を掻きむしってしまいます。このとき皮膚に傷ができるとウィルスや細菌感染のリスクが高くなります。

●マイコプラズマ感染症

発症すると赤血球の異常から貧血になってしまう病気です。これは体を掻いたときにできる傷から感染することが多いので先のノミアレルギー性皮膚炎の延長にあります。猫が体をよく掻くようであれば注意しましょう。

●爪実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)

こちらはいわゆるサナダムシです。ネコノミは成長過程でサダナムシの卵を食べてしまうことがります。そのノミを運悪く毛づくろいで口にしてしまいサナダムシが体内で成長する場合があります。症状は下痢や嘔吐となるので当てはまる場合は病院へいきましょう。

人がかかる病気

●吸血による副作用

人には寄生することのないねこのみですが、食事(吸血)をするのは普通に立ち寄ります。吸血されると強い痒みに襲われます。この痒みは数日続くこともあり、長い人では1ヶ月続いたという人もいるようです。またひどい場合は患部が水ぶくれ状態になることもあるようです。

●猫ひっかき病

ノミによる人への被害で一番厄介なのがこの猫ひっかき病でしょう。これはネコノミからまず猫が感染するんですが、猫自体はほぼ症状はありません。ですが感染した猫にひっかかれたり噛まれたりすると人に感染します。人に感染するとリンパ節に痛みや腫れといった症状があらわれます。人によっては発熱もあり重篤な症状になると麻痺や脊髄障害になることもなります。小児での発症が最も多いようで注意が必要です。

自宅でできる予防

ネコノミは一生(1~2カ月)のうちに1,000個程度卵を産む繁殖力と、全く食事をしなくても生きられる生命力を併せ持つ生命体です。一度繁殖すると駆除するのは大変ですから、増える前に対策することが重要です。

ここでは現在考えられる予防対策3点をご紹介します。

対策1:徹底した掃除による予防

まずはお掃除による予防駆除です。いつものお掃除よりもしっかり徹底的に3週間程度継続しましょう。ポイントはカーペットや布製のソファ(革製も隙間を)、猫の寝床やよく猫が休憩するような布製品などを念入りに掃除してください。また掃除機には必ずノミやダニ用のゴミパックを使用してください。掃除が終わったら念のためスプレータイプのノミ駆除薬を散布することをお勧めします。そして最後の仕上げとして、掃除終了後すぐに殺虫剤などで掃除機の吸い取り口やフィルターなどを消毒しましょう。※掃除道具の管理はかなり重要です。

対策2:薬による予防

掃除とともに試したいのが薬による予防です。薬のタイプは大きく3種類があるので愛猫にあわせて検討しましょう。

  • プログラム錠:1ヶ月に1度飲ませます。成虫になる前に駆除します(卵、幼虫、さなぎ段階で駆除)。
  • プログラム注射薬:1度の注射で6ヶ月間効果が持続します。こちらも成虫になる前に駆除します。
  • サイクリスポット:首の後ろに垂らすスポットタイプの薬です。3ヶ月に1度の投薬で成虫になる前に駆除します。

これらの薬による予防駆除はすべて成虫になる前に駆除するタイプです。室内で繁殖した場合は季節問わず発生するので駆除は継続が重要です。状況にあわせて検討してください。

対策3:殺虫剤(燻蒸式or燻煙式)による予防

ここで紹介する殺虫剤による予防は成虫に対する予防駆除です。燻蒸式・燻煙式どちらも成虫発見後に使用しますが予防にも活用できます。成虫がいなくなることで増加を抑える効果として行います。なお卵やさなぎの状態では効果がないため、すでに産卵されている場合は効果は限定的になります。こういった場合は掃除や薬と併用することをお勧めします。

発生してしまった場合の対処法

予防をしてもネコノミはどこからともなく発生することもあります。ここでは発生してしまったネコノミを駆除する方法をお伝えします。どれも辛抱強く対処しなかればいけませんが、習慣化して健やかな環境を創りましょう。

ノミ取りクシ
昔からある定番のノミ取りクシ、現在はペットショップやスーパーなんかでも購入できます。こちらはただブラシをするだけでなく、次に用意するものと合わせて効果を発揮します。用意するのは中性洗剤を薄めた水と粘着テープです。ノミ取りクシで毛をとかし、クシに引っかかったノミを粘着テープにつけます。毛を溶かすたびにチェックしすぐにテープにつけるのがポイントです。その後、用意した中性洗剤に入れ駆除してください。

ノミ取りシャンプー
こちらもホームセンターやペットショップで購入可能なノミ取りシャンプーを使います。猫には安心と書かれた商品もありますが、できる限り猫が泡を舐めないように注意してください。ポイントはシャンプーの前に顔などにいるノミをクシで胴体に移動させておくことです。効果は一定期間なので習慣化して継続するとが大切です。

ノミ取り首輪
動物病院やペットショップでも購入できるノミ取り首輪です。モノによってはノミ除け程度の場合もあるのでお医者さんに相談したほうがいいかもしれません(殺虫効果が強いものは猫にも悪いので、より相談をお勧めします)。効果の持続期間は3ヶ月~6か月ほどの商品もあります。

スポットタイプの薬剤

市販タイプもありますが、こちらも動物病院で処方してもらったほうが効果的でしょう。首後ろにピンポイントで垂らして使います。効果の持続期間は約1ヶ月程度で、ノミ以外にもダニといった他の害虫にも効果があるタイプもあります。ダニも防ぎたい害虫なので一緒に効くものがお勧めです。

駆除薬(内服薬)
動物病院で処方してもらえる飲み薬タイプの駆除薬があります。内服薬なので体内からネコノミに働きかけノミの成虫だけでなく卵いまで駆除する効果があります。内服薬なのでスポットタイプのように毛づくろいで薬を舐めてしまうことなく安心です。野良猫さんを迎える場合など、徹底した駆除を考えるならば駆除薬がいいでしょう。

電子ノミ取りホイホイ

ホームセンターやペットショップなで販売されています。ノミは光に集まる習性があるので、その習性を利用してノミを捕殺しようとうものです。薬剤を使用しないので安心ですし、置くだけなので簡単に使用できます。ただ置く場所によって効果がかわることがあるので注意が必要です。

これらのグッズはインターネットでも購入できますが、お薬系はかかりつけの獣医さんに相談して処方してもらったほうがいいでしょう。

まとめ

●ノミは外出したときに取りつくことがあるので完全室内外でも被害にある場合がある。●ノミによる猫と人への被害の数々(ノミアレルギー皮膚炎、マイコプラズマ感染症、爪実条虫症、猫ひっかき病について)●ノミは増える前に駆除することが基本(成虫になる前に増加を抑えます)。●自宅で増えてしまった場合の対処をご紹介しました。諦めずに継続しましょう。
ノミなどの害虫は増えてからの対応では時間も費用も掛かります。
ちょっとした掃除のポイントや日常のブラッシングでノミ取りクシを使うなどして、まずノミの存在が把握できるようにしましょう。愛猫さんとご自身の健やかな生活環境を守りましょう。